特集1 四日市公害判決と私
内にわき上がる喜び,だが戦いはこれから
井出 そと江
1
1東京都新宿保健所
pp.8-11
発行日 1972年9月10日
Published Date 1972/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205132
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"やった!"思わずロをついて出ることば。いじめにいじめ抜かれてきた庶民の気持ちは,せきを切ったように外へほとばしリ出る。"オカミにはかなわない"という,封建時代から植えつけられてきたいじけた根性は,昭和元禄の今日でも脈々と庶民の身内に生きつづけている。
20世紀後半のオカミとは,あくなき利潤を求める大資本と,そのひ護のもとにある政治屋と,そして,その尻押しによって繁殖する寄生官僚である。管理体制を作り上げ,庶民をあご先でこき使えるものと決め込んでいたこれらオカミどもに,"ドッコイ,イキテイル"と自己の存在を主張し始めた庶民たち。まずもって生きる権利を,なかんずくその基本である健康をと,叫びつづけて戦いとったこの判決。庶民は目ざめ始めている。叫びはますます大きくなっていくだろう。
さて,"健康の守り手"を自認する保健婦が,庶民から真に認められるのはいつの日か!それはひとえに,この判決の意味するところをどうとらえるか,とらえたらどう動くかにかかっていよう。
まずは,仲間の声をじっくり聞くことから始めよう。
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