Medical Topics
PCB問題と保健婦のかかわり
藤原 邦達
1
1京都市衛生研究所
pp.62-63
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205101
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PCB汚染について,保健婦のみなさんのために書く以上は,単にPCB問題自体にとどまることは許されない。結局PCB問題と保健婦とのかかわりに重点をおくのでなければ,無意味であると思います。PCB問題については,すでにこれまで十分学習ずみのはずです。いまどきあらためて私ごときに講義を受ける必要があるほど不勉強では,保健婦というたいせつな仕事にたずさわる資格はないとさえいえるでしょう。
念のために自問自答されることをすすめます。PCBが市民社会の最大関心事となってから,すでに1年有余を経ました。その間にあなたは正確にどれくらいのことを知っているでしょうか。(1)PCBの歴史的経過,(2)PCBの物理化学的性質,(3)用途,(4)環境,食品汚染の現状,(5)人体,母乳汚染の現状,(6)毒性,(7)カネミ油症,(8)規制,(9)対策,以上の事項についていま市民運動のあらゆる組織,婦人団体などがいたるところで学習活動を強化しています。いわば行政の第一線にあって,市民,住民たちと日夜接触している保健婦たちが,質問を受けたときに市民よりも無知であるという構図など,とてもみられたものではありません。もし万一そうだとすれば,即刻参考書や文献を読むなり,勉強会を開くなりして,一刻も早く本来の自信をとりもどすようにおすすめします。したがってここではいま最も緊急を要する母乳汚染の課題についてだけ述べることにします。
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