Medical Topics
エルドパ治療薬
本多 虔夫
1
1横浜市民病院神経科
pp.66-67
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204990
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歴史的背景
ロンドンの開業医ジェームス=パーキンソンによって,1817年にはじめて報告されたパーキンソン病は,中年から老年にかけて高頻度にみられる神経疾患であり,またその患者は無表情,鈍重な動作,腰の曲がった姿勢,四肢の振戦など特徴のある諸症状を示すために,医療にたずさわる者にとっては,なじみの深い疾患である。その病変は,大脳の基底核,中脳の黒質に限られ,その部に神経細胞の脱落が認められる。
本疾患の治療としては,1950年代の初期に抗コリン剤の使用が始められ,またその後半には脳定位手術が導入され,これらが本格的な治療の始まりともいうことができる。しかしこの時代には,まだいかにしてこのような病変が起こり,また症状が生じてくるか,本疾患の病態生理についてはほとんどなんの知見もなかった。したがってこれらの治療法も,しっかりした理論的根拠に基づいたものではなく,主として経験的対症療法にすぎなかった。
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