声
私のところは無保健婦市
伊藤 幸子
1
1旭中央病院付属高看学院
pp.65
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204989
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医師をはじめとして,医療職に従事する職員の不足はもう慢性化され,いまさら耳新しい情報でもなくなったが,しかしここで,あえて私は保健婦の不足をもう一度考えてみたい。それは年々増加する公衆衛生活動の要望に応じうるには,保健婦ひとりあたりの受持人口が約7,500人というおそるべき比率が,保健婦にとってあまりにも酷であると思うからである。そしてまたそれは国民ひとりびとりにとってもたいへんなマイナスだからである。
就業保健婦のほとんどが保健所,市町村など公的な機関に勤務しているようであるが,大都市の保健所・市町村は別として,地方の市町村にいたっては,就業保健婦がゼロのところがめだつ(私の住んでいる市にも保健婦はいない)。かつて保健婦学生だったころ,私は保健所・市町村の実習を通じて,地域に密着した保健活動の必要性を強く感じ,賃金その他の条件で市町村保健婦になり手がないし,またあっても雇えないなどという話を聞くにつけ,高知県で実施されていた保健婦の地区駐在制が多くの県で取り上げられたら……,と思ったものである。
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