病態生理—最近のトピックス
Parkinson病の病態生理—特にL-DOPAによる治療と関連して
本多 虔夫
1
1横浜市民病院神経科
pp.1788-1789
発行日 1971年11月10日
Published Date 1971/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203910
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形態学的検索から生化学的検索へ
ロンドンの開業医James Parkinsonにより1817年に初めて報告された本疾患はかなり高頻度にみられること,症状が非常に特徴的であることなどにより,誰にでもよく知られている神経疾患である.その病理変化もよく知られており,黒質の色素の脱落という肉眼的変化に加えて,黒質および基底核の神経細胞の脱落は,誰もがよく記憶しているところである.そして振戦,筋の強剛,無動などの症状は,基底核の機能障害の現われとして,よく説明されてきたのである.
しかし,このように主として形態学的方面からの検索からさらに進んで,本症の生化学的変化にまで解明の手がのびるまでには時間がかかり,従って1950年に抗コリン剤の使用が始まり,また1958年より脳定位手術が行なわれるようになっても,これら治療法は,その程度に違いこそあれ,全て原因的治療というよりも,経験的・対症療法にすぎなかったのである.ところが1950年代の後半から,種々の生化学的検索手技の進歩と共に,その実態がしだいに明らかとなり,それが1966年に至って英国のCotziasにより始められた,大量のL-DOPAによる本症の治療の成功として花開くに至ったのである.
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