Medical Topics
ブタ肉と旋毛虫—輸入ブタ肉の安全性をさぐる
吉村 裕之
1
1千葉大学医学部
pp.58-59
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204779
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はじめに
ブタ肉が今日食生活に占める位置はきわめて大きい。日常不可欠の重要な栄養食品として消費されている。しかも近年,価格の高騰と絶対的品不足はようやく外国よりの輸入をもって補ううごきがマスコミを通じ私共に知らされている。果して輸入ブタ肉は安全なのであろうか。細菌やウィールスのような微生物の分野に関しての問題点は筆者の専門外であるので省きたい。寄生虫病を研究する筆者としてとりあげたい対象は、旋毛虫(Trichinella spiralis)という奇怪な寄生虫についてである。ブタ肉が媒介するもう1つの重要な寄生虫(ただし,単細胞性の原虫に属するが)はトキソプラスマ(Toxoplasma gondii)であるが,それによりトキソプラスマ症については,筆者が本誌19巻第10〜11号において解説するところがあったので参照されたい。
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