シネマ解題 映画は楽しい考える糧[68]
「ブタがいた教室」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.183
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
この作品を観ずして生命倫理を語るなかれ
興味あるテーマで気になっていたのですが,劇場に足を運んだりDVDを購入したりする気にはなりませんでした.テーマがテーマですから二の足を踏んでいたわけです.ところがある日,高橋昌一郎氏著「哲学ディベート〈倫理〉を〈論理〉する」で「命の授業」を取り上げた仮想ディベート1)をみつけ,ぜひ鑑賞し取り上げなくてはならないと決心した次第です.はじめにテーマがあり作品をピン・ポイントで選択したのは初めてのパターンです.
小学校の新任 星先生は,担任クラスの6年生に対して「命の授業」を行うことを決めました.子豚を飼い大きくなったら皆で食べるというプログラムです.生徒に毎日の食事で命を「いただいている」ことを実感させることが目的でした.6年2組の生徒ら26人は子豚にPちゃんと名前をつけ可愛がり,愛情をもって賢明に育てます.いろいろなトラブルも起きました.そして卒業が近づき,子豚をどうするのかがクラスを二分する大問題になります.Pちゃんを食べるか食べないか.生徒らは悩み号泣し掴みあい収拾が付かなくなります.最終的な多数決では,食肉センターに送る13票,3年生クラスに飼育を引き継いでもらう13票.最終判断は担任の星先生の最後の一票に委ねられるのでした.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.