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特集 異種移植の現状と展望
免疫隔離膜を用いたブタ膵島移植による糖尿病治療
Encapsulated porcine islet transplantation for the treatment of diabetes mellitus
松本 慎一
1
Shinichi MATSUMOTO
1
1ポル・メド・テック社異種膵島移植担当
キーワード:
膵島移植
,
異種細胞移植
,
免疫隔離膜
,
designated pathogen free(DPF)
Keyword:
膵島移植
,
異種細胞移植
,
免疫隔離膜
,
designated pathogen free(DPF)
pp.263-265
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28304263
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膵島移植はβ細胞補充療法として,インスリン分泌が枯渇するタイプの糖尿病に対して,血糖値を安定化させ,重症低血糖を予防する治療として確立されてきた.日本でも2020年に,“同種死体膵島移植術” として保険収載され,標準的な治療となったが,免疫抑制剤の服用が必要であることと,ドナー不足という2つの課題がある.この2つの課題に対して,免疫隔離膜で膵島を包むことで免疫抑制剤を不要とし,医療用ブタを用いることでドナー不足を解決する方法が,免疫隔離膜を用いたブタ膵島移植である.免疫隔離膜を用いたブタ膵島移植はロシア,ニュージーランド,アルゼンチンで臨床応用され,安全性のデータの蓄積,および臨床的有効性が示されてきた.日本では,異種の細胞移植は「再生医療等安全性確保法」で第一種再生医療等に,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保に関する法律」(以下,薬機法)では再生医療等製品であることが示されており,臨床試験,治験および薬事承認が可能である.日本においても免疫隔離膜を用いたブタ膵島移植の実施により,β細胞補充療法が必要な患者に届くことが望まれる.
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