調査報告
精神障害者に対する指導体制と保健婦活動の検討
内田 靖子
1
,
松野 かほる
1
,
野沢 園子
1
,
外間 邦江
1
,
林 益代
1
1国立公衆衛生院
pp.42-51
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204655
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はじめに
精神障害者の多くは受診,受療に関してまた社会復帰の過程において種々の問題をもっているが,地域精神衛生活動の第一線機関と定められた保健所の精神衛生活動はまだ軌道にのっているとはいえない。精神障害者の地域綜合医療を実現するための重要課題の一つは,保健医療関係職員の精神衛生活動への参加を促し,関係職員の活動を体系づけることであり,保健婦活動の立場からはこの活動における保健婦の役割を明確にすることであると考える。保健婦本来の仕事は地域社会の中で健康,不健康を問わず,また対象を差別することなく不健康の予防,早期発見,健康問題の評価,治療,社会復帰,健康保持増進の過程において必要な働きかけを個人や家族ひいては住民集団に行なうことであるといわれている。精神障害者に対する働きかけも,従来は特殊なものとして考えがちであったが,保健婦本来の仕事と基本的には異らない。地域的な要因も加味し,都市および農村地域の保健所7カ所(東京都中央,川崎市御幸,神奈川県相模原,宮城県石巻,高知県安芸,室戸,土佐清水保健所)の協力を得て,とくに保健婦の立場からこれらの課題の解明を下記に沿って試みた。
1.保健所管内に居住する患者の実態を把握し,それにより保健所で得られる情報入手方法,療養状況,主治医との連絡の可能性,看護の立場で働きかけねばならない対象者の量と質の問題を明きらかにすること。
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