特別レポート
14年目の訪問を終えて
保健婦有志「はばたけ」
pp.75-80
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204665
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はじめに
私達は大阪府と大阪市にある2つの保健婦学校在学中から,同じ道に学ぶ者として,相互の親睦と向上をはかるため「はばたけ」と呼ぶ自主的交流会をつくり,卒業後も交流をしていた。第2回総会(昭和43年11月)の時のことである。就職して2年目といえば,職場にも馴れてきたところであるが,毎日くり返している仕事はこのままでいいだろうか,上から言われたことはちゃんとやっているはずなのに何か満たされないものがある。なぜだろうかと,自問することがしばしばあるとの声があちこちからだされた。
仕事がおもしろくない,疑問なことが一杯でいらいらするというものもあった。ある保健婦の某日の仕事を例にとると,結核患者が登録され,管理カードを持って家庭訪問した。その時の内容は,「お宅の家族は何名ですか。勤労場所を教えて下さい。既往症はありませんか」……といって欄を埋めてゆく。そして「治療を中断しないように,主治医の先生のいうことをよく聞くのですよ,家族の方もレントゲンを撮りなさいよ」と,指導をして帰ってくる。このような一方的な,「なになにしなさい」という指導でいいのだろうか,いったい保健指導とはどうすることをいうのか,仕事がおもしろくない原因は何なのか,などと,議論がわいたのですが,解決の糸口はみつからなかった。
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