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由起しげ子さんを偲んで
井出 そと江
1
1東京都淀橋保健所
pp.66
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204632
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由起さんが亡くなられてもう1ヵ月,病気のことを全く知らずに師走31日の朝刊で,死亡記事をみて愕然としました。ひとこと病気の旨しらせて頂ければ--と悔いました。主なき家に私の賀状が届いてしまう切なさ。
私が由起さんを存じ上げたのはもう15〜16年前です,砧保健所でご一緒だった碧川さんが看護婦の臨床を勉強するために荏原病院にゆかれた折に患者として入院され,保健婦の仕事に非常に興味をもたれ,ぜひ書きたいからとのことで紹介されて,私の下宿先にヒヨッコリ訪ねてみえた時に始まります。初老のいかにも善良そうな品のよい奥さまでした。40歳を過ぎてから初めて小説を書かれたと伺いましたが,仕事の話になると眼を輝やかせて微に入り細に入っての質問に,あいまいな態度や答えが許されず,思わず身がひきしまりました。ご一緒に家庭訪問をしたこともありました,今ならもっとご一緒に訪問をして批判をして頂きたいと思うのですが,当時は余り自信もなくて……。あれこれの末,主題を村の保健婦にと構想が練られ,長野県戸隠村にいた小林智子さん,諏訪市に働いていた阪元陽子さん,それに教務の新井さんを伴って成城のお宅に伺っていろんな話をしました。
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