昨日の患者
津波被災者の元患者さんを偲ぶ
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.180
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211078
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東日本大震災から早5年が過ぎ去ろうとしている.引き続いて生じた巨大津波では多くの人命が失われ,私が手術した患者さんでも命を落とした人が数知れない.しばしば被災地を巡り,元患者さんを偲んでいる.
Kさんは20年ほど前に,腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した元患者さんである.入院時,たまたま出身地が同じ町のため尋ねると,父親の教え子であった.その晩,父親に電話をかけると,Kさん夫婦は中学3年生時に父親が担任した教え子であった.さらに若き時代の両親が最初に仲人した夫婦でもあり,偶然の縁を非常に喜んでくれた.
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