研究報告
職場の精神衛生管理について(第2報)—精神障害者に対する職場側の態度について
安田 美彌子
1
1東京瓦斯診療所
pp.35-38
発行日 1969年8月10日
Published Date 1969/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
さきに一分裂病患者への働きかけを通じて,精神障害者の職場復帰について考察しました1)。そのなかで,精神医療チームと職場側との緊密な連絡と相互の協力の必要性や,企業内で精神衛生管理に携わる保健婦の機能的役割の重大さを指摘しました。また企業内で精神衛生管理を行なう場合には,職場に対する適応という考え方が必要であると述べました。というのは,いずれの精神障害も職場への不適応としてあらわれますし,精神障害者のアフター・ケアも職場への適応ということが一応の目標となるからです。
私たちは前に寛解状態にある分裂病者の職場内適応について調査しました2)。それによると,分裂病者の適応のしかたはさまざまですが,多くは職場内で何らかの問題をもっています。それは作業能力の低下と対人関係面の障害に分けられますが,両者は必ずしも平行せず,4つのタイプが取り出せます。すなわち,両方ともに問題の少ないタイプ,作業能力は低下していないが対人関係面の障害の大きいタイプ,作業能力は低いが対人関係面の障害の少ないタイプ,両方ともに問題の多いタイプです。職場では作業能力と対人関係面の障害のアンバランスなタイプに一番困惑を感じており,これらのタイプが適応できるためには,職場側の配慮が重要であることが明らかにされました。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.