特集 精神衛生
精神衛生の課題と対策
職場の精神衛生—その課題と対策
大道 明
1
1東京電力株式会社労務部
pp.148-152
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203009
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■最近の職場の進歩と変化
最近の職場は,企業の発展をはかるため,もっぱら生産性の増大を目標とし,技術革新の導入をはかり,経営管理は急激に進歩し,科学性,経済合理性を徹底的に追求する峻厳なものとなりつつある。
これまでの労働は,自分のペースで仕事を進めることが可能であり,しかもはじめから終りまで一つの物をつくり上げるという創造もしくは生産のよろこびがあったが,最近の労働は,生産性の向上をはかるため,生産手段の機械化,自動化,自動制御化が行なわれ,それと同時に仕事が特殊化(専門化),単純化,標準化され,肉体労働は減少したが,単調感とともに精神的負担は大となり,マイ・ペースで仕事を行うことは不可能であって,仕事の速度すなわち労働の密度を規定するものは,コンベア・システムでは,ベルト・コンベアのスピードであり,しかも分業,特殊化のため,生産工程全般の見通しがきかず,生産のよろこびは稀薄化し,モラールはややもすれば低下しがちである。しかも仕事の単調感と焦燥感,さらに人間疎外感がその特徴である。
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