仕事と人生
片手間では……
杉村 春子
1
1文学座
pp.9
発行日 1969年4月10日
Published Date 1969/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204401
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仕事というものは,どの仕事が大変で,どの仕事が大変でないということはありません。私たちのような仕事も,外からみれば,たいへん派手で,人の口の葉にはおもしろおかしくのぼり,にぎやかなところだけをみられがちです。しかし人が寝ているときにも寝ないでそれこそ全身を傾けて練習をしなければなりません。よそ目にはぜいたくなこともしているようにみえるかもしれませんが,それも商売上のアクセサリーとしてする場合もあります。人に見られる立場にいる私たちは,いっそう自分でやっていることには,自分で責任を持たなければならないのです。
私たちは,人の前で華やかな花を咲かさなければなりません。そのかげでは人の前には,出せぬ苦労もあります。花を咲かせるためには,苦労を表に出すことは許されません。
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