特集 慢性疾患の新しい理解
慢性疾患の新しい考え方
秋山 房雄
1
1東大医学部成人保健学
pp.10-14
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204307
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慢性疾患の重要性
話の順序として,やはり統計から出発しましょう。最近,注目されだした疾病に,慢性疾患があります。保健婦たちの講習会でも,しばしばこれがとりあげられております。たとえば,慢性疾患の保健指導といったテーマであります。以前は,保健指導といえば,結核の場合のことといってよいほどでしたが,近ごろでは,高血圧症の保健指導とか,糖尿病の保健指導ばかりでなく,ときには,がんの保健指導といったこともきくことがあります。
このような傾向がどうして起こってきたかについては,いろいろな理由がありましょうが,何にしても,結核死亡の激減,結核管理体制の完備と治療の裏づけなどによって,結核の保健指導に向けられた力に余裕が生じたことがまず考えられましよう。しかし,そうだからといって,結核管理はこれで十分だとは考えられませんし,耐性菌感染の問題は,かえって,以前よりも困る事態を作っておると思います。
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