保健婦さんへ 期待と提言
現実を直視し庶民とともに
若月 俊一
1
1長野県佐久総合病院
pp.9
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204198
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あなたが終日無気力な心を抱いて保険組合の机に向っているだけだなどと,……私には信じられません。あのように若い情熱にもえて,あのように美しい理想の言葉を吐いておられたあなたが,保健婦の職場に着かれてまだ1年とたってないというのに……。
「たんに嫁入まえのお嬢さん仕事で,この仕事をえらんだのではない」「ただ月給が欲しいだけなら,こんな農村の小さな保険組合なんかに来やしない」。たしかにあなたはそう云われましたね。私はその言葉をどんな尊いものとして受けとったことでしょう。私はあの時の,キラキラ光っていたあなたの瞳を,この上なく美しいものに思い,今も忘れることができないのです。それなのに,あなたが今そんなにも憂いに沈み,懐疑に悩んでいようとは……。
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