特集 変貌する農村社会と農民の健康
農村の慢性疾患—とくに成人病をめぐって
野田 喜代一
1
,
岡 博人
1
,
岡田 芳子
2
1神奈川歯科大内科学教室
2日本女子衛生短大
pp.10-16
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204199
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まえがき
農村の病気というテーマをとりあげる場合,第1には都市にはなくて,農村にかぎって存在する病気が問題となりましょう。これは狭義の農村病というべきもので,農業外傷や農薬中毒をはじめとして,寄生虫病だとか,またもろもろの風土病が考えられることでしょう(表1)。しかし,農村において頻度が高く,また直接死にもつながっている病気といえば,狭義の農村病というわけのものではなく,都市の場合と同様に,高血圧症,心臓病,がん,糖尿病など,いわゆる成人病が問題となります。そこで,今回は農村においても頻度の上から重要であるという見地に立って,農村の成人病と成人に多発しているいくつかの慢性病をとりあげ,その病因や疾病像をのべ,さらに予防,治療,管理の上で注意すべき点を仕言したいと思います。
なお,本稿の資料は,主として日本農村医学会の研究報告によりました。
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