特集 変貌する農村社会と農民の健康
カメラ・ルポ
東京の僻地
桧原村の保健活動
檜垣 日出男
,
本誌編集室
pp.2-8
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204197
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東京都下桧原村。人口5700,田,全村で一町歩足らず,畑187町歩,主要産業は林業,それも需要の激減に伴い斜陽化しつつあり,現金収入は,ほとんどない。険しい地形は昔ながらの生活史をそのまま伝え,ひっそりとした営みをしている。—これは,シーズンともなると,釣人やハイカーでにぎわう,桧原村の一面である。村の若ものたちは,中学を終えると立川を始め都心へ出ていく。人口は減少する一方で,老人と主婦と子どもだけが残されている。しかし自家製野菜があるせいか,食べるに困らないということで,生活保護1件当り扶助額は,年間1万円と驚くほど安い。一方テレビの普及度,教育機関の普及は,東京都内と比べてむしろ恵まれすぎているくらいだ。すなわち中学校3校,小学校6校学童465名に教員数が39名である。
桧原村は東京都五日市保健所管内にあり,担当の富永ナツ子さん(47)は,保健婦20年のベテランである。保健所からバイクに乗り,さらにバイクも入らぬ山道を,雨の日も,大雪の日も歩きつづけてきた。あたり一面に緑がおとずれると宮さんの足どりはひときわ軽くなる。
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