特集 これからの保健所と保健婦
Ⅰ保健所の現状と将来
大都市保健所の今後のあり方
松浦 利次
1
1東京都中野北保健所
pp.9-12
発行日 1968年3月10日
Published Date 1968/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204129
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都市問題への理解
これからの保健所は,どこもが画一的な運営をしていたのでは,とても地域と密着することはできないし,行政やサービスの効果もうすい。とくに,画一的保健所行政を脱して,地域の特性に応じた保健所活動をしなければならぬ,という声は,大都市において高い。画一行政の被害をもっとも多くうけているのは,都市保健所である。という叫びさえある。それは,いま大きい関心のよせられている「都市問題」そのものと,きり離しては考えられぬたいせつな事柄であり,「都市機能と保健所の役割り」といった問題にも,重要な関連をもつ。
そもそも,都市と農村,都会と田舎,といったような対立的な,あるいは結び合せの概念は,きわめて古い時代からもあったし,今でも,何か社会的な仕事をするさい,よく用いられる手法である。そのこと自体まちがってはいないが,ただ伝統的に考えられた概念「都市は人がつくり,田園は神によってつくられた(西諺)」といったムードや考え方では,近代都市問題や農村問題を扱うことはできない。ここでは,都市とくに日本の大都市問題について,少しくふれる必要があるように思う。
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