特集 検証・変革期の病院経営
社会の変革と病院経営
小山 秀夫
1
1国立医療・病院管理研究所医療経済研究部
pp.784-788
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903365
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聖域なき構造改革と病院経営
小泉純一郎内閣の発足に伴い病院経営を取り巻く環境は,大きく変化しようとしている.平成11年度「国民医療費」は,前年度より3.7%増加し30兆9,337億円となり,初めて30兆円台に達し,対国民所得費も8%を超えた.このまま推移すると,平成37年度に国民医療費は81兆円,老人医療費は45兆円に達するという厚生労働省の推計もある.
このような国民医療費の伸びに対して,経済財政諮問会議(議長:小泉首相)は6月21日,第11回会合を首相官邸で開き,構造改革の方針となる今後の経済財政運営に関する基本方針を正式に決定し,これを6月26日に閣議決定した.「基本方針」は,構造改革(経済社会の活性化,豊かな生活とセーフティネットの充実,政府機能の強化と役割分担の抜本的な見直し)のために,①民営化,規制改革,②チャレンジャー支援,③保険機能強化,④知的資産倍増,⑤生活維新,⑥地方自立・活性化,⑦財政改革の七つの改革プログラムを示した.この中で,医療制度の改革に関しては,医療機関,保険者,国民のそれぞれが痛みを分かち合い,医療サービスの効率化に取り組み,質が高くむだのない医療を実現するため,「医療サービス効率化プログラム(仮称)」の策定を主張するとともに,医療費総額の伸びの抑制方針が示された.特に,「高齢化の進展に伴って増加する老人医療費については,経済の動向と大きく乖離しないよう,目標となる医療費の伸び率を設定し,その伸びを抑制するための新たな枠組みを構築する」とされている.
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