Medical Hi-lite
バイオ・リズム
T
pp.58-59
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203764
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田多井吉之介氏(元公衆衛生院生理衛生学部長)が提唱しているバイオ・リズム(生体リズム)はジャーナリストの発掘によって,一躍妙な形でさわがれるようになった。しかし本来はそんな浮ついたものではなく,生物学的な原理の一つなのである。この概念が提唱されたのは決して新らしいことではない。われわれの生体機能が,ある特定の機能の波をつくっていることはすでに古くから知られていたし,そのうちでもとくに日内変動や季節変動などが生理学的に関心をあつめてきた。
ここにその一例がある。戦後ストレス症の導入につれて,さまざまな疾患が注目されてきたが,その中の一つに夜勤病があることは衆知のことであろう。この疾病の機序は,わたしたちの生体機能が,常識的にも昼に活溌で,夜沈滞する性向をもつと考えられてきた事実に裏づけられている。その全く逆の働きを労働が要求するために,ついに適応症候群をひきおこしてしまうのである。
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