連載 保健指導を科学する・8
保健婦活動の事例をもとにした社会学,社会心理学,臨床心理学的な考察
保健指導の方法論から—患者と家族をめぐつて
田中 恒男
1
1東大・保健学科
pp.78-80
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203748
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波多野姉が指摘された家族と患者の連関は,保健指導の過程にとって,本質的な要素である。これらの関連は,従来から家族保健指導という名前で,業務の中核的な存在となって来たが定義・内容ともにきわめてあいまいな取扱いがなされていた。そこで今回は少しケースをはなれるが,この問題をめぐってまず私論をのべて見たい。
家族保健指導というとき,次の二様の考えかたがなされる。すなわち
① ある問題をもつ患者がいて,その療養過程 を遂行するために,リソースとしてあるいは ファクターとして患者家族に接近する方法
② 問題をもつ家族として把握し,家族自体を 対象とした働きかけをするための方法
である。このうち,従来の一般的な定義からすれば,恐らく①をもって正答とするであろう。
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