実態をさぐる
災害0の日はいつか—交通災害の実態
pp.62-63
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203721
- 有料閲覧
- 文献概要
文明の凶器
生活水準の向上は,都市化の傾向につながる。ますます拡大する経済流通機構の発展は,都市近郊の果しない宅地化をよび,工場化をまねいている。しかし生活を支えるはずの工業が,そのまま大気汚染源となり,逆に住民の健康を侵害することになったのは,科学不在の地域行政の欠陥をまともに暴露した。日ましに伸びるハイ・ウェイ群は,交通まひ緩和に多少は役立つだろうが,依然として市街地を走る凶器の数は減少しない。排気ガスはさらに大気汚染を助長し,交通係巡査は酸素吸入にかろうじて身体を支えるような始末である。
それにもまして,交通災害は数多くの生命をうばい,市民の直接的な生命のきょう威にさえなった。文明の利器は,逆に凶器化するにいたったのである。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.