連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・210
「いつかかならず」と未来を信じて
柳田 邦男
pp.524-525
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202682
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ストーリーは,それぞれに違うのだけれど,語りかけるテーマは共通している絵本が,ほぼ同じ時期に出版されることが,時々ある。
それは,時代と社会がかかえる問題や潮流に対して,絵本のジャンルであっても,作家たちが敏感に反応して,「これを書かなければ」という衝動に駆られるからだと思う。ここで取り上げるアメリカで2023年に出版された『いつかきっと』とやはりアメリカで2022年に出版された『ひとつぶのおくりもの』の2冊は,まさに「今」という時代を支配している都市過密化,自然破壊,自己中心主義,公共心の稀薄化などに対し,ささやかなことからでも人間性を取り戻すための“心の持ち方”や“行動”の必要性を語りかけようという共通の意図から創作されたものだ。
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