特集 衛生教育
健康問題と新聞—一新聞記者の模索
大熊 由紀子
1
1朝日新聞科学部
pp.269-272
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203691
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私に与えられたテーマは「マスコミの健康問題にとり組む姿勢について」といういかめしいものだった。けれども残念ながら記者歴5年,健康問題にとりつかれるようになってようやく3年の一記者に,マスコミ一般の姿勢などあげつらう力や資格があろうはずはない。
それよりも,マスコミ一般に,そのような姿勢が具体的な形で存在するのかどうかも私には疑わしい。さまざまな形で私たちの前に現われてくる問題の個々についてみれば,A社は前向き,B社は後向きというような差が,現象的には読者に印象づけられるかもしれない。でもそれだけで姿勢ときめつけることは的確でない。政治・社会・経済など,歴史の古いジャーナリズムの分野でさえ時の流れとともにはげしい姿勢の変動があった。それらと比べれば,まだ生まれてまもないともいえる医学ジャーナリズムの分野で,固定した姿勢などありえようはずがない。
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