書評
—杉田 玄白—「解体約図」復刻を推す
石原 明
1
1第68回日本医史学会総会
pp.60
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203567
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名品を座右に
わずかに5枚,本というよりは1枚刷とすべきであろう.わが国西洋医学の祖杉田玄白(1733〜1817)が,かの有名な「解体新書」公刊に先きだって,予告の意味で出版したものがこの「解体約図」である.
本書は明和8年(1771)3月4日,江戸の北刑場である骨が原(のち字を改めて小塚原,南刑場の鈴が森に対す)で,当時悪徳高利貸とのて名を知られた"青茶婆ア"の解剖を観察して,オランダ解剖書「ターヘル・アナトミア」の図の正確なことに戟激された杉田玄白が,同志5人とともにはじめて本格的な蘭書邦訳にとりくんでから,わずか1年10カ月で出版になった驚異の著作である.
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