扉
杉田玄白と脳神経外科
永井 政勝
1
1獨協医科大学脳神経外科
pp.701-702
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202431
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カリフォルニア大学サンフランシスコ分校の病院の図書館の中に"Oriental Medi—cine Collection"と呼ばれる一角があり,日本と中国の古典的な医学書2000冊以上が集められている.司書のM女史に案内され書棚のガラス扉を開けて頂くと,山脇東洋の「蔵志」や,杉田玄白の「解体新書」の原本を手に取って見ることを許され,200年以上前に刷られた頁の1枚1枚をじかにめくる感激を味わうことができる.M女史は日本の方で,夫君の勤務のため戦後間もなくからサンフランシスコに在住して居られるが,当時のカリフォルニア大学総長のJ.B.Saunder博士の指示で十分な予算を与えられ,何度かにわたって,神田,本郷等の古書店を中心に収集されたものが多いという.
ここを星野孝夫教授に紹介されて機会ある毎に訪ねるうちに,杉田玄白の著書で「金創要領」と題した小冊子を発見した."金創"とはいうまでもなく,主として外傷を対象とした外科を意味し,和綴22頁の,文字通り要覧,マニュアルといったものである.前半は創傷処置の総論的な事柄と腹部の外傷について記載され,後半部は頭部外傷について書かれている.
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