社会の窓
インド・パキスタン紛争
野口 肇
pp.57
発行日 1965年11月10日
Published Date 1965/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203505
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お気づきのように,この9月にはいってからの朝夕の外電は,あれほどにぎやかだったベトナム戦争が影をひそめ,こんどはカシミールをめぐるインドとパキスタンの紛争が大きく脚光をあびています.
しかもこまるのは,いったいどんな事情があってどちらから攻撃をかけたのか,そもそも印パ両国にはさまれ,中国にも国境を接しているカシミールとはどんな性質の国なのか,ふつうの報道ではいくらよんでもわかりにくい点です.また国連の安全保障理事会が仲介にはいり,同25日,印パ両国に即時停戦するよう決議をし,双方ともいちおうこれをみとめたのに,依然として相互に戦闘がつづいています,いっぽうこの国連のうごきとは別個に,中国がインドにたいし,同国が中国国境を侵犯してつくっている軍事施設をとり除くよう期限つきの警告をだした,そしてあわや中印戦争かと心配された矢さき,突如,インド側がこれら基地と施設を撤去したため危機が回避された.――とにかくややこしい問題です.紛争というものはつねに両者に言いぶんがあり,ましてこの印パ紛争には底ふかく宗教問題がからんでいるのですから.
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