特集 世界の看護教育制度
インド
荒井 蝶子
1
1聖隷学園浜松衛生短期大学
pp.725-729
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906830
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Ⅰ.歴史的な背景
インドにおける医療は,考古学的発掘によって出土した岩石や遺品などの記述や,人々によって語り伝えられたことわざ,あるいは宗教的な教示などから,その歴史的な背景を知ることができる.そして,一般的には紀元前1500年にさかのぼる時代から,西暦600年ぐらいまでの間は,どちらかといえば,インドにおいての医療の実際は,外科的手術をも含めて,極めて進歩したものであった,といわれている.特に,他国の同時代には存在しなかった形成外科や,助産学の実際に秀でていた,と伝えられている.
後にギリシアやアラブ諸国の医学の基礎に影響したと考えられる理論の中に,健康を維持するための要素として,1)神経の力,2)新陳代謝と熱の発生,3)内分泌,があげられており,これと血液との平衡がくずれると,疾病の原因になると考えられていた.紀元前2000年ころのこの理論のほかに,人体の基本的要素の7つとして,胆汁・血液・筋肉・脂肪・骨・骨髄・精液があげられているものもある.
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