最近の動向シリーズ
身体障害児福祉の動向
柳瀬 正之
1
1厚生省児童家庭局母子衛生課身心障害児福祉係
pp.53-56
発行日 1965年9月10日
Published Date 1965/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203464
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障害児の実態
回復の見込みがなく,寝たきりで社会からみはなされている子は,人口1万の中に二人や三人はきっといるはずである.全国に2万と推定されるこれら重症心身障害児は,短期給付的な医療保険の対象とされず,わずか宗教的,慈善の上に世話をつづけられてきた実状である.多くは母親を主とする家族の負担でやっと生命を支えている.だから母親が最も心配することは,自分がいなくなり働けなくなったりしたらということで,前途に希望を見出せないでいる.絶望は死にいたる病である.
身体が不自由な場合,または精神の機能が不十分な場合,すべての児童に適切な治療と教育と保護が与えられる(児童憲章11).幸い精薄は児童と成人の一元化によって年齢の制限がなくなり,重度精薄児には扶養手当法が制定された.しかし精薄児施設も肢体不自由児施設も,独立自活に必要な知能技術を与えることを目的とし,リハビリテーションの可能性のない重症児は入所措置の対象としない.
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