焦点 清潔の看護に関する研究・2
文献研究
わが国における新生児の身体の清潔に関する研究と考え方の動向
川崎 佳代子
1
,
伊東 和子
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.102-117
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200423
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.緒 言
成熟新生児のskin careは,古代から温水浴が行なわれ,わが国においても平安朝時代1)から,毎日温水浴を行なうことが習慣的になされてきている。しかし今世紀前半頃から,新生児のskin careに関する検討が多数行なわれ,それをもとに欧米ではその方法も変わってきている。たとえば米国では,Sanford2)が1930年から1936年までの6年間,種々の沐浴法について,皮膚疾患の発生率を比較している。まず1930年には,2% ammoniated mercuryを出生時に用い,その後は毎日castile soapの入った温水で沐浴し,その年の膿疱の発生率は4.5%であったが,翌年は同様な方法で無菌的に取り扱い,1.9%に減少,次いでoliveoil,mineral oil等を用いたオイル清拭にきり換え,1935年には出生直後血液を拭きとる以外は,9日間オイル清拭も温水浴も行なわずに観察したところ,膿疱の発生はただ1人0.16%であったと述べている。また1931年にPatrick3)は沐浴もオイルバスも行なわないで新生児の皮膚の性状を観察し,皮膚の刺激症状が少なく,感染を防止できたと報告している。これがいわゆる乾燥法における一番古い研究である。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.