主張
結核と訪問看護事業
pp.9
発行日 1951年2月10日
Published Date 1951/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200027
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結核による死亡數がこの2-3年の間に大飛躍をして低下したことは,ねてもさめても識者の頭からぬけきれないこの惱ましい問題であるだけにどんなによろこばしい明るいニユースでしよう。でも,それでも,まだ日本中の結核患者は病院や,療養所に收容しきれない位多勢で,その大半は家庭で不自由な療養生活をつづけている實状です。個人の經濟問題だけの原因ではない。國自體の經濟問題なのです。昭和26年度は,國の結核對策も本腰をいれてかかつているもののようで,結核對策のための豫算も昨年に比べれば,10倍かのはね上りだそうですし,厚生省には結核封策本部という結核問題の大腦も出來たようです。そして結核患者の療養費も國が面倒をみてくれるので,從來よりは遙かに安價に療養出來る事になつたようですが,よくよくきいてみますと,それも凡ての患者のためには多く醫療給付をうけているものや,生活保護の患者,而も,年齡も制限があるというのでは,心の底からよろこんでもいられない状態です。それに病人は,長期療養の人ばかりですので,醫療も必要ですが,日常の看護がどれ程大切かわかりません。
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