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結核訪問
碧川 淸
1
,
大場 そと江
1
1砧保健所
pp.57-60
発行日 1951年2月10日
Published Date 1951/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200042
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"開放性結核患者の隔離牧容依頼"という書面が××寮(引揚者寮)の寮長から來たのは去年の9月下旬でした。
この家庭は既に2月から數回に亘つて訪問をしておりました。始めは人工榮養のお砂糖の證明に來た榮養失調の乳兒(24年9月生)に對してでしたが,その折上の女兒(21年4月生)の右指が3本くつついている先天性畸型をみつけました。早速レントゲン檢査をすすめ,その結果は"今なら手術によつて治る"との診斷でした。引揚者で定職のない家庭であるため醫療劵の交付をうける事をすすめ,その手續き方法について説明しましたが,それにも拘らず,その子に對する熱意も努力も見られぬ儘に放置されていました。その上母は再び妊娠していたのです。14歳を頭に7人もの子供を抱えた靴みがきの生活から優生保護について相談され,その手續方法について詳しく指示したにも拘らずこれもその儘放置されるという樣な有樣でした。乳兒に對してのオイルキャン法の指導も役立たせず,同じ樣な結果でしかありませんでした。何れにしても投げやりな生活に正しい目標のない家庭です。
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