学生ノート
私の存在
松本 匡以
1
1静岡県立厚生専門学院保健婦科学
pp.55
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203399
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社会の中の私の存在,それは小さなものである.私の周囲,小は寮の生活から,大はシンコムの打ち上げちれた大宇宙まで限りなく大きい.そんな中の取るにたらない人間ではあるけれど,やはりどこかに生きる意義があるらしい.いや,生きてゆかねばならぬ義務がある.だれに対して? 私自身の生命に対して.
幼いころ「鯉の滝のぼり」といいつつ2列に並んで向いの人と両手をつなぎ,上に1人乗せて順に送ってゆく遊戯をした.今思えば,人間も絶えず滝をのぼらねばならぬ運命にあるのだと,妙にそのころが懐しい.その生涯が短くとも,反対に永くとも一生に変わりはないし,意義があってもなくても,やはり一生である.とすれば,より有意義に,より充実した生活をおくりたいと望むのは,月並みな人間のごくありふれた願望なのであろう.しかしその望まんとする内容は異なる.
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