連載 医師が保健所研修にやってくる―ピンチをチャンスに変える保健所を目指せ!・6・最終回
地域の存在
古屋 好美
1,2
1山梨県峡中地域振興局健康福祉部
2甲府保健所
pp.920-923
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100191
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保健所から見える地域
地域で起きていることは,常に私たち公衆衛生に携わるものにとって仕事の原点であり,学びの宝庫である.これは,臨床医が常に患者から学び,患者のために仕事をしていることと通じる.
地域で患者がどのように生活しているか,研修医はあまりよく知らない.医師が臨床の世界からまるまる抜け出して,外側から医療や社会を客観的,総合的に見られる場所として,保健所は最適である.研修医は,保健所研修に来ることによって,患者=生活者=住民という,言ってみれば当然の視点を身につけることができる.地域の中で患者がどのような生活をしているか,間近で見ることができるのだ.これは,臨床の世界ではできない作業であり,保健所研修にくる大きな意義がここにある.その後研修医が臨床の道を選んだとしても,保健所での体験,生活者としての住民・患者・障害者の本音を聞いたことや,その考え方や行動に触れたことなどは,臨床医としての将来にきっと役立つ.
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