書評
弱さの倫理学—不完全な存在である私たちについて
足立 智孝
1
1亀田医療大学看護学部
pp.652
発行日 2023年7月10日
Published Date 2023/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202444
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自分の「弱さ」を抱きしめられるか—新たな「いのち」の倫理学の構築を目指して
「弱さ」という視点から生命倫理を問い直す
私たちは,科学技術の開発・発展による多大な恩恵を受けて生活している一方で,科学技術の開発は,さまざまな社会的課題も生み出してきた。そのうちの生命に係る課題に対し,学際的にアプローチする学問分野がバイオエシックス(生命倫理)である。バイオエシックスが扱う「いのち」の問題は幅広いため,科学技術が適用される領域や検討課題などに区分して,「医療倫理」「技術倫理」「環境倫理」などと細分化して論じられることが多い。
本書は,倫理学の議論において中心的に取り上げられることの少なかった「弱さ」という概念を鍵に,別々に論じられてきた「○○倫理」を総合的に捉え直し,新しい「いのち」の倫理学の構築を目指した壮大な試みの書である。
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