特集 ちょっと気になる妊婦・胎児
母体編:妊娠中
NSTは正常だが,胎動自覚があまりない
高橋 宏典
1
TAKAHASHI Hironori
1
1自治医科大学産科婦人科
pp.541-544
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002142
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
Non-stress test(NST)は胎児の状態を確認するテストでreactiveとnon-reactiveからなる。Non-reactiveと判定された場合はコントラクションストレステストや超音波検査で胎児が「元気がないかどうか」を判定するバックアップテストを行う必要がある。Reactiveと判定された場合は「児は元気」と判定できる。一方,胎動は妊婦のみが観察可能な「持続胎児モニタリングシステム」である。胎動もNSTと同じような考え方で,「胎動あり」=「胎児は元気」と考えて診療している。胎動は客観的な評価を行いづらい欠点がある。特に初産婦の場合は以前の妊娠と比較することができないため,信頼度は落ちる。本稿の内容はこの2つの検査が異なる結果を得た場合の対応を問われている。つまり,「NSTは正常」=「胎児は元気」だが,「胎動があまりない」=「胎児が心配かもしれない」という状態である。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.