コンタクトレンズ(57)
沈丁花の薫香
長谷川 泉
pp.14
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203365
- 有料閲覧
- 文献概要
沈丁花の花開き,その薫香がえならぬ風趣をただよわす時期になった.「朝日新聞」の「天声人語」氏が,その欄で沈丁花を薄命の美人にたとえて都会のスモッグのなかの存在を愛惜していた.
沈丁花は移植に弱い.根まわりによく配慮しても,本職の植木屋でも枯らしてしまうことが多いという.私の家の猫の額ほどの庭にも1本の沈丁花がある.鉢植から移しかえられたものである.葉が全部落ちてしまったので驚いて鉢を脱し移しかえたのだが,幸いにいきを吹きかえして,つややかな若芽が枝々を蔽い,今年は再び薫香をたゆそわすことになった.
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.