編集デスク・7
成るときに成るにあらず
長谷川 泉
pp.252
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904034
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阪大泌尿器の楠隆光教授の部屋へうかがうたびに感心することが一つある。それは,きちんと整備された丈献箱である。15列5行,すなわち75の整理箱に,きちんと丈献が整理して分類されていて気持がよい。中味は,文献名と,その抄録が,教授の手できれいに書き込まれたカードがつまっている。全部欧文である。いつから整理を始めたのかうかがってみると,昭和23年以来だという。教授は最近ちょっと病気をされたので,カードに書き抜かなければならない文献がたまったので,それを整理するのに忙しいと言っておられた。
楠教授は,原稿の締切を厳守するので有名である。必ず締切期日通りに送稿される。これはなかなかまねのできないことである。とかく,執筆者の中には,編集者泣かせが多くて,承諾はしてもいざ原稿執筆となると、期日を守らないばかりでなく,そのために分担執筆の他の筆者に迷惑を及ぼし,ひいては出版の計画にそこを来たし,出版社の損害を倍大させても,とんと意に介しないものもいる。その点,楠教授のように,締切期日を厳守する著者は編集者にとってはたいそうありがたいことである。
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