特集 医療と公衆衛生
対談
医療と公衆衛生のビジョンをめぐって
佐口 卓
1
,
外山 敏夫
2
1早稲田大学・商学部
2慶応大学・医学部
pp.10-17
発行日 1965年3月10日
Published Date 1965/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203323
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あるべき姿として描かれる包括医療
本誌 公衆衛生活動の第1線で,尖兵として活躍しておられる保健婦さん方に,広い視野から眺めて医療制度とはどういうもので現状というのはどうなっているのか.将来あるべき姿というのはどうなのかということをお話し合いになっていただきたいと思います.まず導入部門として現在comprehensive medical careということばがよく言われております.そういうことについて先生方のご意見を先に述べていただきたいと思います.
外山 今包括医療ということばが出てきましたけれども,包括的な保健というもっと広い意味で医療という定義をもっと大きくとってみると,結局包括性ということは医療の理想的な最後の到達目標ですね.だから包括医療が完成している国はまだどこにもありません.comprehensiveということばを保健の中でよく使うようになったのは,欧米でもだいたい10年ないし15年ぐらい前のことで,日本は比較的最近のことです.医療の包括性は供給側と受ける側とから対比して考えなくてはならないと思います.たとえば今考えられている包括careは,健康維持増進から始まって,疾病の予防,早期発見,診断治療,社会への更生復帰,というサービスが連続的にスペクトル状に配列していて,その間に切れ目がないということです.
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