特集 予防接種の役割
予防接種の現状と展望
春日 斉
1
1厚生省公衆衛生局検疫課
pp.20-25
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203100
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まえがき
ここ5,6年の間に,各種予防接種事業は飛躍的な発展をとげつつあり,その伝染病対策としての地位をいちじるしく高いものとしてきている.
たとえばそれはわが国だけに例をとってみても,ソークワクチンの導入からセビン生ワクチンのいっせい投与計画の成功によって象徴されるものといってもよいであろうし,予防接種計画の裏づけとしての流行予測事業の登場やインフルエンザ流行前期におけるいっせい接種計画という世界に例をみない意欲的な方策の逐行にも代表されるであろうし,また,麻疹,赤痢,コレラなどの新ワクチン開発にもみられる政府と学界,あるいはWHOや海外諸国との緊密な連携さらにほんとうの意味での効果判定(ダブルブラインド方式の野外実験)の試みという形にも表われているのである.がしかし,そのような予防接種の現状をみる前に,基本的な予防接種の考え方をはっきりと把握しておく必要があるのではなかろうか.
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