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働きよい体制づくり(1月号)を読んで
山村
pp.19
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203099
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- 文献概要
私は医療に恵まれない所の中小企業体,あるいは団地などへ出張し健康相談や健康診断などを行なう社会事業団に勤務する保健婦です.この仕事を通じて感じておりますことを一言申しあげたいと思います。
環境,待遇などが悪条件にあり健康に対する問題の多い所の人びと,また団地などで急激な人口集中を来たし,それに対して医療施設が伴わない地域の人びとの健康管理は当然国が行なうべきことだと思いますがそれについて国はどのように考えているのでしょう.国の保健活動における主要方向は広い意味で疾病の予防にあるはずですから,国が住民の健康に対して直接の責任を保健所にまかせるのはよいでしょう.しかし現在の保健所はその任を果たせるだけの十分な体制になっているのでしょうか.本年の厚生白書によると死亡の1位から3位までは成人病で占めております.しかし今,人間ドックにはいろうと申し込むと,実際に入れるのは,半年から1年先きであるそうですし,またそれにはそうとうな費用を必要とします.いざ病気になってしまい,治療を受けるにも健保加入本人でなければ半額以上の費用を要します.これでは疾病の早期発見,早期治療はできません.「上に厚く,下に薄い」などということが,健康についてあってよいものでしょうか.
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