病人と病気と病院
救急医療の体制づくり
宇山 理雄
1
1京都第二赤十字病院
pp.12-15
発行日 1974年10月1日
Published Date 1974/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200582
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救急医療とは
救急医療とはいったい何を言うのかを簡単に定義することはむずかしい.すぐ適切な医療を施さなければ生命に危険が及ぶような重症患者の処置が救急医療であることは,だれもが理解できるが,休日や夜間の診療時間外に病院を訪れて,食べすぎてお腹が痛いとか,風邪をひいて熱が高いという程度の患者を診るのも救急医療かと言われると疑問なのである.しかし現実には救急病院は後者の患者に追いまわされているのである.このように翌日まで診察を待とうと思えば待てないこともないような軽症患者の処置も救急医療に含めなければならないために,たいへんな混乱が起こってくるのである.
なぜこのような軽症の急患が最近にふえたのだろうか.これには種々の原因があるが,国民皆保険による受診率の増加,核家族化,診療所の医師の職住分離傾向がはっきりしてきたことによる休日夜間の休診増加(医師も人間である.せめて夜や休日ぐらいは人なみに休みたい),診療所の従業員の確保が休日や夜間は困難になったこと(看護婦不足や人件費の高騰)などがあげられる.したがって救急医療を論ずる場合には休日夜間の急患(軽症)を除外して考えることはできないようになってきたのである.
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