声
保助看法改正の前進面とその裏にひそむ危険性
合田 浩子
1
1北海道布伏内小学校
pp.61
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203088
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現在,これまでの保助看法を改正し,4年で3種すべての業務を行ないうる保健師という制度案が出されている.従来の看護婦の業務は看護職業高校として高等学校教育で看護師と名づけ,それにこの保健師,看護師また医師の業務を補助する役として中卒3カ月養成の医療ヘルパーをおくという大改正策が,保助看護婦の職能団体である看護協会から出された.その趣意書をみると“近年における保健・医療の概念は高度に拡大し,これに伴ないその一環として重要な役割りを占める看護の概念も急速に進展し,従来の保助看の3種が分割担当した業務のあり方を改めて一元化することが必要であり,社会もまたこれを要請している”……として保助看の資格の一元化を定めているが,保助看の総合教育は現在の教育制度にひじょうな重複があることや,すべて保助看には保健指導を含む教育者的内容が要求されている点からみれば,基礎的な発展的なものと考えられるが,果たして現在の看護界の問題はこうした問題であろうか.情勢はこの制度をどう扱うだろうか.
さきに三池炭鉱や国鉄鶴見の事故で千名をこす大惨事をひきおこしたような,利潤追求のためには人命も犠牲にしてはばからない現代に,国際競争戦の中で勝ち抜くためには安いコストで物を生産し,市場を拡張して売さばくために,機械の導入と労働者の配置転換,首切りが近代化の名のもとにすすめられている.
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