特集 職場と生活をゆたかに
団地ストについて
村田 宏雄
1
1東洋大学
pp.28-30
発行日 1962年1月10日
Published Date 1962/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202490
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戦後ふえたものに,団地入居者がある.団地ストとは,この団地入居者を指す言葉だそうだ.団地といつたところで,アパートだ.アパートなら,わが国に,戦前からもある住居で,そこで居住する生活様式など,ことさら,他ととりたてて区別するほどのこともないように思われよう.だが,団地入居者をさして,特別に,団地ストという造語ができることを考えると,最近の団地アパートの生活は,戦前の単なるアパート暮しとは,何か異つていると同時に,そこでの生活は,他の住居での生活と特別異つたものがあることを,自他共に感ぜられている証拠である.
では,団地アパートの生活は,実際,どんなところで,他の生活と異つているだろうか.もし本当に,団地生活が,他のところで住む生活と異つているとすれば,その点をよく心得ていないことには,団地生活に適応することができないし,また団地ストを扱う場合にも,上手に扱うことができない.そこで団地生活を少しでも快適にし,団地入居者の扱いを上手にするためにも,団地ストに特異なものがあるのかないのか,あるとすれば,それはどんなもので,それが団地生活にどんな影響を与えているのか,主として人間の心理の面に焦点をあてて,探つてみることにしよう.
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