コンタクトレンズ(45)
東大出のいない旧帝大総長
長谷川 泉
pp.36
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202943
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大学の学長のうち旧帝大の総長が認証官になるという.認証官制度は待遇改善の第一歩であると賛成するむきと,大学の学長人事に政府が圧力をかけることもあり得るとして反対するむきもある,それぞれに言い分はあろう.大学総長と言っても,現在では大会社の部長クラスの待遇に甘んじているわけであるから,全部とはいわなくても,まず旧帝大の総長だけでも認証官になることによって待遇改善の先鞭がつけられることは事実である.しかし,かつて思想統制が厳しかった頃の苦い思い出があるだけに,すなおにすらりと入ってこない点が批判もされているのである.
ところで,現在の旧帝大の総長には東大出がひとりもいない.そんなことは,一般には何もことあたらしいことでもなく,特筆するに値しないことなのだが,そういうと,ちょっと奇異な感じがあるとすれば,日本の社会構造のなかに残っている学閥の意識や一種の権威主義的な年功序列的なものの考え方がまだ骨がらみになって残っていることを物語るものである.
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