話題
辺地問題とたたかった岩間秋江さん—「青春を谷間に埋めて」を祝う会
所沢 綾子
pp.44-46
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202948
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ごくろうさま岩間さん
岩間秋江さんは静かに目をつぶっていた.保健婦活動の先輩,高橋政子さんが,岩間さんの著書「青春を谷間に埋めて」の一節を朗読していた.そこは,この本の出発にあたるところ,26歳の若い岩間さんが,東海道線富士駅から,身延線にのって静岡県の山中,稲子(いなこ)という小駅におり,さらにそこから4キロを歩いていかなければならない山奥の柚野村(ゆの)に赴任していくくだりであった.
「水を打ったような静かな中に蛙の鳴き声がきこえる.わたしはこの農協を足場に,あすから働かねばならない.とうとうきた.もう引き返せない.わたしはじっと目をとじた.部落の人々の生活は意外に貧しいようだ.その人々がわたしを待っているのだ.何から手をつけたらいいのか? つかれてうつらうつらしてしまう.
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