特集 家庭看護
家庭看護の教育
鹿野 松
1
1都立保健婦助産婦学院
pp.28-30
発行日 1963年9月10日
Published Date 1963/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202918
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はじめに
学院が保健婦教育を開始して以来11年を数えるが,保健所における実習で学生が扱った看護の対象はいろいろに変わってきている.初期のころは,看護指導の対象の中でかなりの数を占めるのは結核患者であった.それらの患者の多くは,就床中かまたは就床していなければならない者で,従って身体的,精神的,社会的な面の要求が高く,身の回りの世話を多く必要とした.当時の学生は看護教育の背景もまちまちで,中には相当長い期間実務からはなれていた者もあって,看護技術(清拭,洗髪,ベッド作り,その他)の訓練にかなりの時間を要した.その後公衆衛生や医療の進歩に伴って,公衆衛生看護における問題の様相も変化し,その範囲も拡大されてきた.化学療法の発達に伴い,自宅で安静療法をしている患者に代わって就労患者が多くなり,看護指導上の問題も変わってきている.一方母子衛生の面で未熟児の問題,成人病予防上,慢性疾患も取りあげられるようになってきた.ここ数年間に学生が扱った看護指導の対象も結核だけでなく,未熟児,成人病がふえてきている.特に,継続して指導した対象の多くは未熟児で,成人病,結核がこれについでいる.
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