コンタクトレンズ(41)
森鷗外のカタルシス
長谷川 泉
pp.45
発行日 1963年5月10日
Published Date 1963/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202836
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森鴎外は津和野藩の藩校にあった幼少の頃から秀才であった.上京後は才華にいよいよみがきがかかり,年齢不足を補うために2歳の足駄をはいて実際の年齢よりも2歳若年で東大医学部に入学し,ふつうの人よりも2歳早く卒業した.
選ばれて陸軍からドイツに留学したが,そこで自由な西欧の空気に触れて青春の自我の覚醒が行なわれ,人間形成の過程は,当時の日本人離れをした次元のものであったといえる.木下杢太郎がいうように「テエベス百門の大都」といわれるような量質ともに博大な業績は,英才と,それを培うに西欧の近代的雰囲気があって成就されたものである.
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